明治4年(1871)に明治政府によって「散髪脱刀令」(通称:断髪令)が発令されました。それを受けて、一部の元気な女性たちが断髪するに及ぶと、翌年「女子断髪禁止令」が発令されました。女性には、長い黒髪であることが求められました。
江戸から続く結髪の文化を続けていた女性たちに、医師の渡辺鼎らが中心となって、明治18年(1885)複雑な結髪の廃止し、それに変わって束髪を推奨する「婦人束髪会」が発足しました。浮世絵は、新しい文化を絵入で紹介できる恰好の媒体でしたので、明治18年頃から、数多くの束髪をテーマにした浮世絵が制作されました。
公益財団法人 平木浮世絵財団菱川師宣から橋口五葉や伊東深水という近代版画に至るまで、近世以降の版画の歴史をたどることが出来るように蒐集されたコレクションです。約6000点の所蔵作品には、重要文化財11点、重要美術品238点を含み、その質の高さは内外に知られています。